心さん、そろそろ俺にしませんか?
嘘……俺、五十嵐の本気と戦ってたわけ?マジかよ。
「あともう1つ。お前、五十嵐って呼び捨てしてっけど、アイツ俺とタメだぞ」
ということは1つ上=先輩。って先輩!?先輩なのにタメ語で話してたってことか、俺!?
「い、以後気をつけます……」
「あ、それと」
まだ何かあるんすか?
「……ケーキとクッキー、どっちが好きか?」
「……部にお菓子の差し入れでもするんですか?」
「いいから答えろ」
「ク、クッキーです」
そうか、と言った佐原先輩は窓の外を眺めた。これって会話終わったんだよな?俺はおそるおそる前を向いた。
それからの記憶はない。試合の疲れで、俺は夢の世界へ飛び立っていた。そして、夢に心さんが出てきていた。
試合の報告をしたら、頑張ったなって笑顔で言ってくれた。心さんの笑顔にデレデレしている俺。そして、心さんからご褒美は何がいいかって聞かれて……
「おら、着いたぞ~」
現実に引き戻されてしまった。くそっ、一気に幸せモード落ちた。
でもご褒美か。聞かれたら何て答えようか。なんて考えてしまう俺だった。