心さん、そろそろ俺にしませんか?
「やった~!俺トイレ掃除!」
中でも人気なのが武道館の隣にあるトイレ掃除。俺はまだ当たったことがないけど、夏は最高だと聞いた。水遊び、なんだろうけど。
「きちんと掃除をするようにお願いします」
そう言うと、小さく返事をしたトイレ掃除の部員。みんなに笑いが起こった。
─────☆
「……新聞紙」
「は、はい」
そそくさと新聞紙を渡す俺。新聞紙を渡したその相手は……佐原先輩だ。そう、俺は佐原先輩と誕生月が同じで、同じ窓拭きの掃除場所になったのだ。
「お前、左手休み過ぎだから」
「すいません。……キツイっす」
「ったく、鍛えが足りねーだろーが」
そう言って、再び黙々と掃除と筋トレを開始した佐原先輩。佐原先輩の左手には2Lのペットボトル。俺の左手には500mlのペットボトル。
「……鍛えよ」
ボソッと独り言を呟いていると、左側から痛い視線を感じた。その視線の主は後輩達2人だった。
窓拭きの掃除は、佐原先輩と俺を含めて4人いるが、他2人の後輩は俺達から少し離れた場所で掃筋を行っている。2人は佐原先輩から怒られたことがあり、近づくのが怖いらしい。