心さん、そろそろ俺にしませんか?
「……何の用?」
「さっきあとでご飯食べるって言ってたから、呼びに来たんだけど」
ニヤニヤして俺を見る姉貴。これ、会話聞いてたパターンだろ、おい。
「何、彼女?」
「ちげーよ」
「じゃあ片思い中?そうか!優生の好きな人か!」
大学生の姉貴は、夏休みのため家に帰ってきている。そして、こういう浮ついた話が大好きだから、面倒だ。
「……だったら何」
「やん、白状しちゃって♪敬語使ってたから年上?同じ高校なの?」
「あーそうだよ」
この勢いで来られると、なんだか隠す気も失せるっての。
「へぇ~同じ高校か。久々の母校に行って、その子見に行っちゃおっかな?」
「ふざけんな、やめろって」
ちなみに、姉貴は俺の高校の卒業生。だけど、心さんを見に行くとか嫌だ。こんな姉貴、紹介したくねぇ。
「そんなに怖い顔しないでよ。あたしもそんなに暇じゃないって」
「だろうな。課題山ほどあるもんな」
「手伝ってくれてもいいのよ?」
「俺、明日も部活だから」
ニッコリスマイルで会話をする俺と姉貴。誰が大学の課題をするかよ。