心さん、そろそろ俺にしませんか?




「彼氏に頼めよ」



「イヤ!そういう卑怯な手は使わないもんね~」



俺を使おうとした奴はどいつだよ、姉貴。



「それにね!来週デートするし、それまでに終わらせてやるんだから♪」



「ほー終わるといいな」



いい加減腹が減ってきた。そう思いながら立ち上がって部屋を出る俺。それでも後ろから姉貴の声がする。



「でも、アイツも進路の時期だから忙しいかな?優生、どう思う?会っていいと思う?」



「俺に聞くなよ。彼氏に聞けよな」



ていうか、進路の時期って年上?だったら大学4年?就活で大変じゃね?



「姉貴、やっぱり……」



「い~や、やっぱり会う!遠距離だし、なかなか会えないもん。会える時には少しの時間でも会いたいし」



ふーん。あれ、姉貴って遠距離だったっけ?知らなかった。



「問題解決した?俺飯食うよ」



「うん、サンキュー!」



会いたい時に会う、ね。会いたい時に会っても、相手の心が別な人を向いているから、切ないんだよな、俺の場合は。



そんなことを考えながら、少し遅くなった晩飯を食った。



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