心さん、そろそろ俺にしませんか?




「久しぶりの母校だからね、大人になった姿を見せなくては!」


まだ夏休み中の姉貴は、今日の俺の体育祭に来るらしい。ビデオ撮るって張り切ってたけど、撮らなくていいから。


弁当箱におにぎりとおかずをポンポン詰めていく。そして、完成した弁当を見て思ったこと。……女子力高ぇ弁当だ。


「うわ~美味しそ!こういう点は尊敬するわ~」


そう言って、も~らい!と皿に残っていた唐揚げを1つ口へ運んだ姉貴。まぁ、料理すんのは嫌いじゃないけど。


そんなことを思いながら水筒も準備する。ふと時計を見ると時計は8時前。やべ、今日はダッシュで行かねぇと遅刻だ。


「じゃ、行ってくる。体育祭は9時から始まるって母ちゃんに伝えてて。弁当はテーブルに置いてっから」


「はいよ~」


姉貴に伝言を伝えてチャリに飛び乗った俺。遅刻になる可能性があるため、立ちこぎで学校に向かう。


周りに同じ学校の生徒はいない。遅刻なんてしたことねーし、地味に皆勤賞狙ってんのに!


駐輪場の柱にチャリを立てかけ、カバンを持って靴箱へ全力疾走。片足のスリッパは手に持っまま教室へと向かった。



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