心さん、そろそろ俺にしませんか?




「ハァハァ……ま、間に合った……」


8時半の1分前。ヘトヘトになりながら、体育祭で賑わうクラスメートの間を抜け、自分の席に向かった。


「優生、寝坊か?」


「……弁当作ってた」


ハチマキを巻いて、意気込んでいるイチに返す。


「こんな日までご苦労さま!でも惜しかったな。さっき心さんが教室に来たんだよ~」


「こ、心さんが!?」


「あぁ。正確に言うと3年の先輩達が、頑張っていくぞ!って喝入れに来たぞ~」


毎年、3年生が1、2年の教室に来て喝を入れるやつだっけ?うわーしくった。心さんに会えなかった。


でも、ここで落ち込んでたまるか。今までにも何度も落ち込んだだろうが、俺。それになにより、心さんと同じ組だから応援の時とかに少しは関われるはず!


「原田~お前やる気あるな~!」


イキナリ担任の山田にそう言われてハッとした。やべ、今HRの時間じゃん。いつの間に!


「そんなお前には、用具係の仕事を手伝ってもらおうかな。人手が足りないって言ってたから、ちょうどいいな!」


う、そ、だ、ろ。



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