心さん、そろそろ俺にしませんか?
─────☆
「原田くん、それもこっちにちょうだい!」
「これはココじゃなくてあっちの方にお願い」
体育祭が始まった。何も役目がなく白組として楽しんでいるはずだったのに、今俺は用具係の一員として扱き使われている。
「いや~助かるね!原田最高!」
なんて言ってる用具係のリーダーの女の先輩は、イスに座って指示出しのみ。ったく、動けやコラ。
はぁ。イチのやつでも誘って一緒に雑用させればよかった。アイツは呑気に楽しみやがってよ。
「原田くん、そこのダンボールココに持ってきてくれる?」
そして再びパシリ。もう言い返す気力もなく、ダンボール箱を2つ重ねて持ち上げた。うおっ、少しグラつくかも。
「原田くん!人いる!」
嘘!?そう思った時には遅かった。ドンっとぶつかってダンボールを手放して、しりもちをついた俺。
「大丈夫ですか!?」
慌てて倒れ込んた人へ近づく。相手は……女子じゃん。男子だったらまだよかったのに。
「イタタタ、大丈夫……って原田?」
名前を呼ばれて顔を見ると、なんと倒れていたのは心さんだった。