心さん、そろそろ俺にしませんか?




「……心配、する必要あったかな?」


「あ……はははは」


リーダーと共に苦笑いする俺。でも、心さんの屈託のない笑顔が俺の胸を高鳴らせる。自然とその笑顔を追いかけてしまう。


「よし、午前中の大きいものを出すのは終わったから、原田くんはもういいよ。ありがとうね!残りの時間は体育祭を楽しみなよ」


リーダーは心さんの友達。だから少しだけ、心さんに似ている気がした。


「おっかえり~♪待ってたよ~」


白組のテントに戻ると、イチがあぐらをかきながら俺を見上げた。嘘つけ、これっぽちも思ってないくせに。


「今、種目何?」


「今女子の徒競走が終わったから、次が男子の徒競走だな。あれ、優生出るんだっけ?」


「おう。お前もだろ」


そしてイチと一緒に編成所へ向かう。


「優生、あとで協力して欲しいことがあんだけど、いい?」


「ジンクスのやつ?」


「昼飯の後、優生にも付き合ってほしいんだ」


へへっと笑ったイチは、係に指示された列へ入っていく。俺もイチに負けねーように勝負に出るぞ。そう思って俺も列へ向かった。



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