心さん、そろそろ俺にしませんか?




「あー、大丈夫っす」


「そうか。吉野も心配してたよ」


な、なぬ!思わず頬が緩む。そんな俺を隣にいたイチはニヤニヤと見ていた。


「まぁ、無理するなよ」


「はい。ありがとうございま……」


「おーい、西川!」


俺の耳が反応するこの声は、ただ1人。俺たちの元に、チア部のユニフォームに着替えた心さんが来た。やべ、いつ見ても……可愛い。


「あっ、原田じゃねーか!お前怪我大丈夫か?」


あぁ、俺のことには今気づいたんすね。少しだけショック。


「大丈夫っす。ただのかすり傷なんで」


「そうか。それならよかった!」


あーなんだろ。心さんから声をかけてもらえたから、怪我してよかったって思うアホな俺がいる。


「そうだ、西川。さっきサッカー部がお前のこと探してたぞ!」


「マジ?部活動リレーのことかな?」


そう言いながら、西川先輩は歩きだした。お?これって、心さんと一緒にいられるチャンス!?


「それにしても、大変だったな」


すると、心さんが右手を伸ばして、俺の頬に貼られている絆創膏に触れた。



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