心さん、そろそろ俺にしませんか?
こ、心さんの手が……!!!
俺の心臓は一気にバクバク。
「こりゃ、絆創膏の日焼けの跡が嫌だな」
「……そこっすか」
予想外過ぎてツッコミを入れた。隣にいるイチは口を開けて笑っている。
「ジョーダンだよ。にしても、お前速かったな!」
「見ててくれたんすか?」
「大事なな後輩の勇姿を見ないわけが無い!」
─────後輩
このワードが、俺にどれだけのショックを与えているか、心さんは知らないんだろうな。
「じゃ、またな!」
そう言って、颯爽と俺たちの前から去る心さん。
─────体育祭のジンクス、今年は挑戦してみるか!
心さんの言葉を思い出す。このままじゃ、俺の想いは行き場をなくす。
「心さん!」
声を張って、心さんの名前を呼んだ。
「あ、あの!あとで一緒に、写真撮ってもらえますか!?」
俺の方に振り向いた心さんへ、俺の精一杯の言葉を並べる。
「もちろん!あたしも撮りたかったし、あとで撮ろうな」
そう言って、手を振って駆けていった心さん。