心さん、そろそろ俺にしませんか?
「あのぶつかった時じゃ?」
「用具のところか!そうかもな。いやーごめんな」
いや、むしろ嬉しいです。そう思いながら、心さんとハチマキを交換する。
あれ?さっき写真撮ったよな?俺達お互いのハチマキしてたってこと?知らないうちにハチマキ交換して写真撮って、ジンクス実現してたってこと?
両想いじゃないとしても……嬉しい、かも。
「心さんは、あのジンクス信じてるんですか?」
おい!イチ!お前、今それ聞くか!?
「そういうの信じてなかったけど、信じるのもいいかなーって思えてきたな」
ケータイををいじる西川先輩の姿を見る心さんの姿に、胸が痛んだ。心さんはジンクス実行したのかな?でも、ハチマキは俺のだったわけだし……
「ハチマキの交換はしてないし、写真もさっきのしか撮れてないんだけど、それでいいかなって」
少し小声で俺に話す心さん。いつの間にか、俺は心さんの隣のポジションにいることが出来ていた。
「少しずつ……この関係が変わっていけたらいいんだよ」
今、心さんの隣にいるのに……遠い。
手を繋げる距離なのに……届かない。