心さん、そろそろ俺にしませんか?
「吉野」
後ろから西川先輩の声。
「サハの奴、デートだから打ち上げに来れねぇって」
「ったく、彼女が帰って来てるからって、仲間を捨てるのかー悲しいぜ!」
あぁ、そういえば佐原先輩には、遠距離の彼女がいるんだっけ。
「佐原先輩の彼女って美人っていうのは聞いたことあるんすけど、どんな人なんすか?」
心さんと西川先輩の会話を遮りたくて、話題を振った俺。
「あー美人でなかなか面白い人だよ。見てて飽きない人で、いつも笑ってたな」
そう言ってケータイ閉じて、クスッと笑う西川先輩。気のせいか、心さんの表情が少し曇った。
「元気にしてんのかな……」
そういう西川先輩の横顔は優しくて寂し気だった。
「あっ、優生ん家着いたな!」
イチの言うように、いつの間にか俺ん家に着いていた。こんな微妙な空気でかよ、なんて思っていたら、家から誰かが出てきた。
「……佐原先輩?」
出てきたのは私服姿の佐原先輩。なんで佐原先輩が俺ん家に?俺以外の3人も頭にはクエスチョンマークをつけていた。
すると、再びドアが開いて女の人が……って姉貴!?