心さん、そろそろ俺にしませんか?
それで、倍返しの意味でチョップを二度食らわせた後、チョコだけはありがたくいただき、帰宅に至ったわけだ。
床に部活のカバンを置き、重い足取りで靴を脱ぐ。俺の気持ちと同じなのか、今日の天気は雨。靴はグッショリなっている。
「あっ、優生おかえり~」
リビングに向かうと、ソファに横になり場所を占領している姉貴の姿があった。なにやら雑誌を見ている様子。
「ただいま」の言葉だけ返し、俺は冷蔵庫を開けて麦茶のボトルを取り出し、コップに注いで口へ運ぶ。
「お昼はお姉ちゃん特製オムライスだよ~」
姉貴の言葉を聞き、テーブルの上の『弟』と書かれたオムライスに目をやる。なんだ、この名前のセンスは。普通に名前だけ書けよ。
そして、イスに座って姉貴特製オムライスを食べる。すると、姉貴が向かいのイスに腰を下ろした。
「……なに」
「昨日の話をしたくてさ!」
昨日の夜、姉貴は佐原先輩とのデートの後、友達のところに泊まって、明け方帰ってきていた。佐原先輩とのお泊まりは卒業後……と佐原先輩と約束してるらしい。
そういうところ、佐原先輩らしいや。