心さん、そろそろ俺にしませんか?
─────☆
「……あ、姉貴、これどういうことだよ」
1時間後、玄関にいた俺は隣に立つ姉貴に聞いた。
「どうもこうもないよ。実はね、昨日会う約束してたの~!心いらっしゃ~い♪」
どういうわけか、心さんがウチに来ていた。それも、初めて見る私服姿!って、今そこに反応すべきことじゃない。
「満結さん!お、お邪魔します!」
そう言って心さんは靴を脱いで、ウチへ上がる。黄色の星が散りばめられた白いシャツの上に、青のカーディガンをプロデューサー風にして、デニムパンツ姿の心さん。
「原田、お邪魔するな?」
そんな心さんにはにかまれながら言われたら、俺は言葉を失います。ドッキンバックン、ハートは大忙しです。
「心、階段上ってドアに『MAYU』ってプレートのところがあたしの部屋だから、先に行ってて~」
姉貴の言葉に、「はい!」と返事をした心さんがそそくさと階段を上る。俺はリビングに向かった姉貴を追う。
「ちょっ、姉貴……っ!」
「言ったでしょ?お礼って」
コップと皿を出しながら鼻歌を歌う姉貴。