心さん、そろそろ俺にしませんか?




話によると、心さんは看護師を目指してるみたいで、大学の看護学部へ向けて受験勉強している。……それも県外らしい。佐原先輩はというと……


「俺、お前に昨日言ったよな。お前んとこの大学行くって」


なりたい職業は定まってないけど、姉貴と同じ大学に行くらしい。どんだけ惚れんだよってね。


「それで引退してからは、早朝や放課後は学校で勉強してるんです。土日も学校に行ってますよー。満結さんもそんな感じでした?」


「うん、私もそうだったな。でも、辛いのは今だけよ?きっと春には笑えるよ」


進路、という壁がまだ分からない俺。でも、佐原先輩と心さん、そして壁を乗り越えた姉貴を見ていると、じわじわと進路という重い言葉が迫ってきていることを実感した。


それからも世間話に花を咲かせながら夕食を済ませた俺達。気づけば外は薄暗くなっていた。


「今日はありがとうございました!久しぶりに話ができて良かったです。夕飯までいただいて……でも本当に楽しかったです!」


「あたしもだよ~心!また帰ってきたら連絡するね」


そう言って、心さんと姉貴がハグを交わす。俺と佐原先輩は静かに見守り役、だ。



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