心さん、そろそろ俺にしませんか?
「じゃあ心、外暗いし……」
「姉貴、俺……俺が心さん送ってくる!」
姉貴にそう伝えた俺は、心さんの手を引いて玄関を出た。そして、バクバクする心臓を落ち着かせた。
「原田、あたし1人で」
「な、何があるかわからないので送ります」
「いや、でも」
「心さんが1人で帰るのは心配です。送らせてください」
─────☆
ポツポツと灯る街灯に目を向けたり、隣を歩く心さんに目を向けたり。1人、そわそわしながら心さんと歩く俺。
「満結さん、全然変わってなくてホッとした。たくさん話せたし楽しかったよ」
そんな俺に心さんが言った。
「なんであんなにキラキラしてんだろーな。ずっと憧れてるけど、キラキラ要素は分かっかんねーわ!」
弟の俺は余計にわかりませんけどね、とツッコむ俺。
「あたしも、満結さんみたいになりたいなー……なんてね。へへっ」
少し視線をそらして笑う心さん。
あぁ、この顔知ってる。
今、心さんの中にはあの人が……西川先輩がいる。
「こんな時に言うのもあれなんですけど……」
俺は、あの話題を口にした。