心さん、そろそろ俺にしませんか?




「なぁなぁ、この字澤本が書いたんだよ~!もう上手すぎ!さすが俺の彼女♪」


あ、ちなみに、イチと一緒に行動することになってるんだ。奴は、ビラに書かれたクラスの模擬店名を書いたのが、イチの彼女である澤本だということをデレデレと自慢してきやがる。


体育祭の日の帰り、結局ウチに寄らずに帰ったイチから、メールで何通もの惚気が来ていた。返信をせずにいたら、振替休日後から休み時間の度に惚気、惚気、ノロケ!


内容はしょうもないもの。目が合っただの挨拶をしただの、お前そんなに純粋だったかと毎回ツッコミを入れるのが、俺の日課になっている。


「明日の自由時間が楽しみだ~」


なんでも、明日は2人で行動する約束をしているらしい。クソ、俺は文化委員でもないのに、舞台発表の照明係を任されたってのに。


「差し入れ持ってくぞ?」


「いらねー。照明係やれ」


「澤本と一緒にしたら楽しそうだな~!」


やっぱり訂正。こんな奴に任せてたまるか。


「ん~、どこも気合い入ってんね~」


正門周辺には、他クラスの宣伝マンが声を張って客寄せをしている。その勢いが強すぎて、ひいてる人もいるけど。



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