心さん、そろそろ俺にしませんか?




「よし!俺達も客集めねーと委員長にしばかれるぞ~。はい、そこの美人なお姉さ~ん、お腹空いてないですか~?今ならサービスで、焼きそば1つおまけしますよ~」


ナンパ風の口調で通りすがりの女に声をかけ始めたイチ。うわー、いくら客寄せとはいえ、この光景を澤本が見たら後が怖いぞ。


「ねぇ、原田くん」


背後から誰かに名前を呼ばれた……と同時にものすごい殺気を感じた。嫌な予感がしながらも振り返ると、笑っているけど目が笑ってない……澤本がいた。


や、やばい。黒いオーラ半端ねぇ。


「森原くんに伝えてて?あとで模擬店の所にいてって」


「あ……う、うん」


「焼きそば、投げつけてやるわ」


お、女って怖ぇ。


初めて見る澤本の冷たい笑み、冷ややかな言葉に怯えながら、了解の返事をして、そそくさと宣伝を開始した。


─────☆


「澤本がいただと!?」


宣伝終えて模擬店の場所に帰ろうとした時、イチに澤本が来たことを伝えると、目を丸くして俺を見た。


「そういえば、アイツも宣伝だったっけ?やべぇ、いたのかよ」


「焼きそばの公開処刑かもな」


そう言うと大きく落胆したイチ。



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