心さん、そろそろ俺にしませんか?
「うっわー、その場に居たくねぇや」
要は、西川先輩のことをハートマークの目で見つめた心さんを、照明係をしながら見ることになるんだ。
「西川先輩達のバンドのリハを見た奴いるけど、やばかったってよ」
「え?」
「カッコ良すぎだってさ」
ガーン!!
「当日の衣装はまだ秘密らしいんだけど、バンドすげ~って。心さんイチコロだろ~な?」
そう言ったイチが、焼きそばの海苔がついた歯を見せてニカッと笑う。
「おい、そんなこと言うなよな」
「だって可能性は低くないだろ?」
「う……」
「あっ、橋本からメールだ♪」
焼きそばを置いて、スマホに飛びついたイチ。顔ニヤけ過ぎて気持ち悪い。ていうか、今の俺からしたらムカつく。
「表に来いって!優生、俺行ってくるっ」
浮き足で澤本の場所へ向かったイチ。だけど、俺は笑いがこみ上げてきた。その呼び出し、絶対例の焼きそばの刑だ。
澤本からいい罰を受けろよ、イチ。