心さん、そろそろ俺にしませんか?




「うっわー、その場に居たくねぇや」


要は、西川先輩のことをハートマークの目で見つめた心さんを、照明係をしながら見ることになるんだ。


「西川先輩達のバンドのリハを見た奴いるけど、やばかったってよ」


「え?」


「カッコ良すぎだってさ」


ガーン!!


「当日の衣装はまだ秘密らしいんだけど、バンドすげ~って。心さんイチコロだろ~な?」


そう言ったイチが、焼きそばの海苔がついた歯を見せてニカッと笑う。


「おい、そんなこと言うなよな」


「だって可能性は低くないだろ?」


「う……」


「あっ、橋本からメールだ♪」


焼きそばを置いて、スマホに飛びついたイチ。顔ニヤけ過ぎて気持ち悪い。ていうか、今の俺からしたらムカつく。


「表に来いって!優生、俺行ってくるっ」


浮き足で澤本の場所へ向かったイチ。だけど、俺は笑いがこみ上げてきた。その呼び出し、絶対例の焼きそばの刑だ。


澤本からいい罰を受けろよ、イチ。



< 345 / 387 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop