心さん、そろそろ俺にしませんか?



「次西川先輩だよー!」


「楽しみだねっ。カメラ持ってきたもん!」


下から女子の声が聞こえてくる。


「西川の奴、ムカつくくらい人気だよなー」


柵に両手を置いてその上に顎を乗せて、下を眺める心さん。


「でも、心さんはそんな西川先輩が……」


言いかけてやめた。


‘’でも、心さんはそんな西川先輩が……好きなんですよね‘’


「何か言った?」


「いーえ、何も」


再びアナウンスが流れ、俺は機材に手を置く。音楽が流れ始め、閉まったままの幕にカラフルなライトを連続であてる。途端に体育館が湧き出した。


「おー始まるなっ」


心さんはまだ同じ体勢で俺の近くにいた。


「あの」


「ん?」


「ココにいていいんすか?」


心さんのことだから、最前列にでも行きそうなのに。


「んーココの方が見やすそうだし、ココから見るよ」


ふっと笑いながらも、視線は舞台へ向けられている。


「それに、もう少し……」


【はーい!お待たせしました!The☆イケメン’sでーす!】



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