心さん、そろそろ俺にしませんか?



幕が上がり、西川先輩達が登場した。格好は黒いスーツに黒いハット帽子。女子達の悲鳴がさらに増す。


何だこれ。カッコ良すぎだろ。


心さんの反応が気になる。だけど、今は照明係もしなきゃならねー。クソ、心さんが近くにいるのに。


西川先輩はギター担当で、佐原先輩はドラム、キャプテンがボーカルで他2人の先輩達が加わっての5人組。


キャプテン何気歌上手いし、ギターもドラムも上手いし、そりゃこの悲鳴なのも納得いく。


──心さんがこれ以上、西川先輩のことを好きになりませんように。


ただそれだけを願って、無我夢中でライトを当てていた俺だった。


アンコールが2回あって、予定時間を押してまで行われた西川先輩達のライブ。終わった後は、多くの女子が体育館を出て、先輩達の元へ向かっていった。


「いやー、迫力あったな!」


心さんは割るような拍手をして、俺の隣の椅子に座った。


「凄すぎてビックリしました」


「さすがアイツら!自慢できる友達を持ててよかった!」


俺もあれくらいすれば、心さんの心を動かせるのかな。




「原田くん、ごめんね!」


そこへ先輩の登場。やっと彼氏のところから戻ってきた。



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