心さん、そろそろ俺にしませんか?
まだあと1年もある、って余裕かましてるけど、3年になって卒業するのはあっという間だ。そう思うと、先輩達も忙しい中で色んなこと考えてたんだなって改めて思う。
「そういえば、心さんって進学?」
「うん。県外の大学だって」
「学部は?」
「看護学部って言ってた。看護師目指してるんだって」
たしか、前にうちで夕飯食べた時に言ってたはず。
「看護師か~。心さんに合ってるかもな?それにしても県外じゃ寂しくなるな、お前」
「……まぁな」
県外っていってもどこなんだろう。まだ詳しく聞いてねぇし、また心さんと話すチャンスがある時にでも聞こう。
好きな人のことは、何でも知っていたい。小さなことでも、大きなことでも。
「さ~て、今日の練習メニューは何だろな~」
イチが伸びをしながら呟く。
「先生が鍛えが足りないから、筋トレ増やすって言ってたな」
「え!また筋トレメニュー増えんの!?また筋肉痛だ~」
イチの嘆きはオレンジ色の空にかき消された。