心さん、そろそろ俺にしませんか?
「俺、朝起きてすぐに心さんの合格を祈ります。あっ、寝る前にももちろん」
「ふははっ!それはやり過ぎだって。超笑えるー」
「こっ、これくらいはしないと俺の気がすまないっていうか!……心さんのためにもって」
「ん?最後何て言った?」
「なっなんでもないっすっ」
俺は恥ずかしくて少し早足で歩いた。心さんが小走りで追ってくるのが分かる。それがなんだか嬉しくて、つい頬が緩んだ。
「ちょっ、なんでお前笑ってんだよー」
「すいませんっ、つい」
「変なやつだなー」
こういう何気ないやり取りさえも楽しくて、無駄にしたくなくて、笑っていたくて。
「原田のアホ!お前なんか可愛気のない後輩だなっ」
「可愛気がなくて結構っすよ」
「そんなこと言ってると、どんどんブサイクになってくぞ?知らないからなー」
話の趣旨さえも分からない。でも、それさえも俺にとっては……
「こらっ、原田っ」
正面に心さんがいて、痛いデコピンを食らった。
「……ってぇ」
「人の話を聞かなかった仕返しだっ」
悪戯っ子のように笑う心さんが大好きです。
一緒に笑いあえて、それだけで幸せです。