心さん、そろそろ俺にしませんか?



でも、イチの言ってることは……否定できない。



心さんに会えるかなって思いながら、心さんの教室を見て通るし、先生から頼まれる雑用も快く受け入れ、帰りに3年の教室の前を通るし。



でも、これがなっかなかなんだよ。心さんの姿は教室にないことが多いんだ。だから、教室にいる心さんの姿を見たのは2度だけ。



参考書を両手に、クラスメートと問題を出し合っている様子を見た。真剣な横顔が見え、間違えると大きなリアクションで落ち込んでいた。



でも、ノートにメモを取ったり、間違えた理由か考えたり、心さんの努力が目に見えて分かった。



応援しよう。



その姿見て、より強くそう思ったのを覚えている。だから、声もかけずにその場を去ったんだ。



「あっ、そういえば、さっき職員室に呼ばれて行った時に、心さんを見た気がする!」



すると突然、仁が声をあげた。そういえば!と良平も声をあげる。



「先生に数学の質問をしてたな。結構熱心にしてて、その様子を見てたらさ、ハゲ山に教科書のカドで叩かれたんだよ~」



「そうそう!超痛かったよな~」



仁と良平が顔を見合わせる。



< 386 / 387 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop