心さん、そろそろ俺にしませんか?
「よかったな、優生!」
それはきっと、俺のことを自分のことのように喜んでくれるからだと思う。
いくら俺が照れくさく毒舌を吐いたって、本心で返してくるイチ。
だから俺はいつの間にか、イチに心を開けていたのかもしれない。
「……お、おう」
「ちょっとは心さんと距離が近づいたんじゃねーの?」
やったな!と付け加えて俺の肩を叩くイチ。まだよく分からないから、曖昧に首を傾げた俺。
距離……縮まってたらいいな。
「おうら、西川ー!」
だけど、俺の想いは儚く消えていった。
心さんの声が聞こえた。でもそれは、あの西川先輩を呼ぶ声だった。
イチにも聞こえたみたいで、俺の顔を心配そうに見てくる。俺はイチから目を逸らして、心さんの姿を探した。
すると、心さんを見つけた。