心さん、そろそろ俺にしませんか?
一瞬にして顔を赤く染めた心さん。西川先輩はデコピンをして、普通に前を向いていたから気づいていなかった。
だけど、心さんは火照りを隠して必死に西川先輩に刃向かっていた。照れ隠しで。
その姿が可愛くて、でも悔しくて。
どうして、西川先輩には心さんを赤くさせる力があるんだろう。どうして、俺にはないんだろう。
「なぁ、イチ」
「ん?」
「これってかなり長期戦になるよな」
分かっていたことだった。だけど、あまりにも違いがあるから、少しだけ情けなさを感じてしまうんだ。
「それも承知の上で追っかけてんだろ?」
いつもイチの言葉に救われる。サンキュ、と返して教室へ帰った俺達。
まだ、これからだ。
誕生日を知った。日にちが一緒だった。それだけで浮かれちゃダメだ。
これからがまだ長いんだ。