心さん、そろそろ俺にしませんか?



あれからも、西川先輩と心さんがじゃれている姿をよく見かけた。


クラスの奴からも、『あの2人って絶対デキてるよな!』って会話をよく耳にする。


本当に仲が良さそうで見るたびにイライラする。俺も行動すればいいんだろうけど、なかなか話しかけられない。挨拶が精一杯だ。


でも、西川先輩の隣にいる心さんを見ると、西川先輩のことが本当に好きなんだと痛いほどわかる。


西川先輩は心さんのことを女友達としか見てないから、見てるこっちが辛くなる。


心さんの気持ちを知ってるのに、普通に接するなんて、いくら心さんが普通にしてと言っても
これはこれで罪な男だ。


それでも、容姿も性格も年も西川先輩には適わないから、何も言えないんだけどさ。


「おっ、そろそろ練習始まるぞ」


イチの焦る声で我に返った俺。気だるく立ち上がり、心さんの賢明な姿を脳裏に焼き付けて練習へ戻った。



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