心さん、そろそろ俺にしませんか?



「カエル捕まえてたんだよ。ほら!お前も見るか?」


そう言って、手のひらに乗せたカエルを俺の目の前に差し出す心さん。はい?カエル?


「吉野が排水口にいたカエルを見つけて、捕まえようとして俺まで巻き込んだんだよ」


「だって、1人じゃ捕まえらんなかったからさ!」


「巻き添えにすんなっての」


目の前で言い合いをする2人。そんな2人を見て、俺は全身の力が抜けた。


「……くて、よかった……」


「え?何か言ったか?」


”告白じゃなくて、よかった”


「……心さん、そのカエルよく見たいっす」


俺の心を探られないように、話題をカエルに変えた。心さんは素直に『ほらよ!』とさっきよりカエルとの距離を近づけてきた。


う……気持ち悪いかも。正直に言っていい?間近でみるもんじゃねぇよな?


「可愛い瞳だよな?」


ええ。心さん、その感性なんすか。



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