心さん、そろそろ俺にしませんか?



「……原田って言ったっけ?」


「あ、はい」


少しの沈黙の後、西川先輩から話しかけられた。やべ、変な汗出てくる。


「なぁ、お前もしかして……」


やっぱり俺の気持ちバレてる?そうだよな。普通、好きでもなんでもなかったら、ココに来ねぇもんな。うわ……最悪。


「サッカー好きなのか!?」


「はい?」


「わざわざサッカーゴールの場所へ来るなんて、それしかないだろ?」


西川先輩、その読み全く当たってないっす。


「おいおい、入部しろよ~。サッカー部の部長は俺だぞ?」


「あ、俺、剣道部っす」


「剣道?マジで?ブチの後輩かよ~」


ブチ。きっとキャプテンのことだろう。名前が上渕(ウワブチ)な気がする。


「剣道辞めてサッカー部来いよ。このガタイの良さ欲しい!」


「……遠慮しときます」


なんなんだ、この人。思っていたような西川先輩じゃなくて力が抜ける。



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