心さん、そろそろ俺にしませんか?
「……うまい棒あるか?」
「お~、ココにあっぞ」
お菓子が好きな訳じゃない。だけど、何か口に入れていないと、心さんへの想いが溢れ出そうだったんだ。
「難しいなぁ、好きな人に好きな人がいるってのは」
「おー」
「だって、全然見てくんねぇんだもんな」
隣に座るイチがポツリと呟いた。これは、俺だけに言ってる言葉じゃないと思う。きっと、イチも……俺と同じ想いをしているのかもしれない。
でも、聞かない。話したくなったら話すだろうし、深入りして無理に聞き出すこともないだろうし。
「あ!原田くん達だ」
それから、他の部活動生と話をしたり、外に出てスポーツを楽しんだ。
楽しんでいても、頭のどこかでは心さんの姿を探してた。当の本人は、女子と楽しそうに話していた。
その笑顔を遠くから見るのが、精一杯だった。