心さん、そろそろ俺にしませんか?
「ったく、アイツにはお仕置きしねぇとな」
ブツブツ言いながら胴着の紐を結ぶ先輩。イチの奴、可哀想に。
「原田、お前森原と仲良いよな」
「え、まぁ同じクラスですし」
「体育祭の部活動対抗リレー、お前等出場な」
は?
「あれ競争率高ぇから頑張れ」
「ちょっ、待ってください。先輩達が出た方がいいんじゃ……」
イチはともかく、なんで俺まで道連れなんだよ。
「俺は剣道部の勝利が欲しいんだ。な、頼むぜ、原田」
上手く言いまとめたつもりだろうけど、どうせ出たくないだけっすよね?
「森原だけじゃダメっすか?」
「友達を見捨てるのか?」
「はい。こういう時は自分を守ります」
「はははっ!それは剣道だけで十分だ。強制参加ってやつだ、いいな」
キャプテンは出るらしいけど、他の先輩達は大会のために負傷を控えるために、俺達1年を出すことにしたらしい。今回だけ。