心さん、そろそろ俺にしませんか?
「っしゃ~!優生、俺の勇姿を見とけよ!」
「悪い、トイレ行くわ」
「おい!ひでぇぞ~」
学年対抗100m走に出る張り切っているイチに、トイレから間に合ったら見る、と伝えてその場を後にした。
無事、トイレを済ませてテントへもどろうとした時に、ポニーテールをしてチアの格好をした心さんの姿を見つけた。
急いでいる様子だけど……よし、少しだけ声をかけよう。
「心さんっ」
俺の声に足を止めて振り向いた彼女。
「うわ、原田じゃねーか!まだ出る競技はねぇのか?」
「後からあります」
「頑張れよ!こっちはチア部だからって応援させられて休む暇もねぇよ」
「大変っすね」
「だろ?おまけにこの格好だぞ?笑っちまうだろ?」
ほら見ろよ、とチアの格好を見せる心さん。
「…………可愛いっす」
「ん?何か言った?」
「に、似合ってます」
今、俺……何言った?