心さん、そろそろ俺にしませんか?
そして、ついに俺の出番。柄にもなく緊張してますけど何か?
「原田ー!剣道部の命を背負ってんだぞー!」
キャプテン、そういうの止めてください。足が笑ってるんです。
「は、原田!」
バトンを受け取り走り出す。前を走る奴との距離が縮まっていく。もう少し、あともう少し……
「原田ぁ!負けんなぁ!」
─────聞こえた。心さんが応援してくれた。ニヤける暇はなく、歯を食いしばり力を出して走った。
結局、その走者を越すことは出来なかったけど、ほぼ同時で次の走者のイチへバトンを渡すことが出来た。そして剣道部の結果は2位だった。
「お前等よくやった!」
「サッカー部がいなければ、1位だったけどな~」
そう、1位はサッカー部。アンカーは西川先輩だった。もちろん心さんも応援していた。だけど、その姿を嫌だとは思わなかった。
俺って単純だなって思うよ。
そして、心さんに一喜一憂させられた体育祭は終わった。