心さん、そろそろ俺にしませんか?
唐揚げを頬張る。うん、今日のは少し味が濃いな。やっぱり試合だから緊張してたのか、俺?
「ねぇねぇ、優生」
「何」
「あそこで試合してんのってサッカー部?」
「は?サッカー部?」
頭の中には、ライバル視しているあの人の顔が浮かびつつも、イチの視線の先へと目を向けた。
遠くてわかんねぇけど、あのユニフォームはたしかにウチの学校。そして、右手をあげながら指示をしているその人は間違いなく……西川先輩のシルエット。
「……イチ。俺、見たくなかったんだけど」
「これで午後の試合に勝てんじゃない?」
バカ言え。別の意味で闘争心出てきそうだっての。
「あ、そうだ、原田!」
「はいっ」
キャプテンに呼ばれて、慌てて闘争心を鎮めた。
「どうしたんすか?」
「あぁ、実はさっき吉野と会ってな、お前に頑張れって伝えるように言われてたから……」
「こ、心さんがですか?」