心さん、そろそろ俺にしませんか?
「よぉし!みんな食ったな!中に戻るぞ~」
急いで弁当箱をスポーツバッグに片づけ、先輩達の後を追う俺達1年。
「ったく、先輩達行動早いよな~」
「やっぱりこの差って目に見えて分かるよな」
今日の試合は新人戦で、主に1年が出場している。そんな俺達の姿を一生懸命に応援してくれる先輩達は、本当にカッコいいと思う。
「いつ先輩達に追いつけんだろ~なぁ、優生」
「きっと、追いつくことは出来ねぇだろ」
背後から聞こえるイチの疑問に、サラッと答えた。
そう言いきれる。俺達が成長しても、その倍以上に先輩達は成長する。それって、追いかけっこ。
そう、俺が心さんに追いつこうとしても、心さんは西川先輩へ向かって走るように、届かない追いかけっこ。
「いつか、優生の言葉を翻してみせたいよ」
俺の肩をバシッとたたいて、駆けていくイチ。
俺だって、先輩達にも西川先輩にも……心さんにも追いつけるようになりてぇよ。