咲く*ラプンツェル
夜の風に頭をなでられて
輝きだした星たちと共に
果てしない空に歌を歌う
想ったことを自由気ままに、周りのことなんておかまいなしに。
素直に気持ちよく、歌をうたった。
夜の静かな空間に自分の声だけ響かせていると、
下から別の声がした。
「ラプンツェル、ラプンツェル。」
…誰の声?
塔の下から誰かの声。
男の人の、低い声。
辺りは暗いものだから、遥か下にいるその人の姿が見えない。
「ねぇラプンツェル、俺をそこに行かせて。」
怪しい月明かり。
木々も笑ってる。
「…どうやって?」
「その長い髪をここまで垂らしてよ」
──次の瞬間、わたしはみつあみを放り出していた。
塔の下の、その人のもとに。
どうしてか懐かしさをかんじるその声の主に、会いたいって思ったのかもしれないね。