咲く*ラプンツェル
「なんか久しぶりだね透真ー!」
「ん。…ウロウロしてたら心の歌きこえたから、来てみた」
「あはっ、別人だったらどうするの」
「心の声とか聞き違えねえし。なめんな」
青い王子さま姿の透真はそんな、普段は絶対言いそうにない王子さまみたいなセリフを吐いて、わたしのベッドにドサッと腰かけた。
そしてキョロキョロ部屋中を見わたし、つぶやく。
「…お前、魔女とは仲良くできてんの?」
「え、純ちゃん? もちろん」
「ならいいけど」
そう言って目をそらす透真は、不審以外の何ものでもない。
…純ちゃんがどうかしたのかな。
「寂しくならねえの」
「え?」
「ひとりでいるんだろ、ここに」
「あぁ、うん。大丈夫!」
親指まで立てて言ったのに、透真は腑に落ちない顔をする。
言い聞かせるように言葉をかけてきた。