咲く*ラプンツェル
うわさに聞くラプンツェルの王子さまよりもっともっと素敵だよ、透真!
「んふふ。透真ならどこつれてってくれる?」
「…動物たちの音楽隊とかお菓子の家とか」
「えー!そんなのあるのっ」
「あるよ。外には」
透真はそう言ってまた空を見る。
……外には、かぁ。
毎日見てる森とか小道とか、外には知らない景色がいっぱいあるんだよね。
…そっかぁ、外か。
「出てみたいなあ…」
──ポロリと言葉が零れ落ちた。
「…あれ、」
言葉に気付いて固まったのと同時に、月が一瞬、チカッと光ったように見えた。
あれ。
…わたし、いま、何言った?
「……外、出たい?」
静かに透真が覗き込んでくる。
わたしのあんな小さい言葉を拾ったんだ。