咲く*ラプンツェル
「何のつもりだよ。こんなとこに心 閉じ込めて」
鈍く光った瞳は、まさしく王子さまのそれ。
その迫力に思わず純ちゃんがたじろいだ。マントの帽子がパサッと外れる。
「閉じ込めてなんか…守ってただけで!」
「何から」
「あ…あんたみたいな悪い虫からよ!」
「だから外にでれないこんな高い塔においたのか」
魔女でさえも自力で来れない高さの塔。
月も雲も太陽も、誰よりも近くで見られる塔。
足がすくむほどの高さに、魔女はラプンツェルを閉じ込めた。
「…純ちゃん、守ってたって」
どういうこと、と口にする前に、純ちゃんはこっちに飛び移ってきた。
「だって心がかわいいからあああ…っ!」
ガバッと抱きつかれて「おふっ」バランスが崩れる。
「心配だったのよおぉおおぉおう」
涙ながら訴える純ちゃんに、横で透真がため息をついた。