咲く*ラプンツェル
宣言するなり体制を立て直し、透真との距離をとって仁王立ちした純ちゃん。
「ちょっとどうしたの純ちゃん! 情緒不安定だよ! 落ちついて!?」
「心配しないで心! 大好きよ!」
「えっ、わっ、わたしも純ちゃん大好き!」
「オイコラ心。つられてんなよ」
はっと口を押さえると、さあ来なさい!と純ちゃんの声が飛んでくる。
構えた純ちゃんを見て、わたしの隣に座ってる透真はまた軽くため息をこぼした。
「…お前な、図星つかれると開き直るクセやめろよ」
「ちょっ、うっさいわね! 早くかかってきなさいよ! このポーズちょっと恥ずかしいのよ!」
イヤイヤイヤイヤ…完全呆れ顔の透真に、純ちゃんはきっといらいらしている。
このふたり、いっつもこんな感じだ。
さんにんで仲良くできないのかな、っていつもは思うけど、いまは王子さまと魔女とラプンツェルだから手を取り合うことはできないかもしれない。
定められた物語のルールだから。