咲く*ラプンツェル





パチン、純ちゃんが指を鳴らす。
キラキラの煙とともに、魔法発動の合図。

煙が消えた次の瞬間、純ちゃんが持っていたのは




「…水でっぽう…?」




普通の家庭にある水でっぽうとは少し違って、なんていうか黒くてゴツい。
でも水でっぽうだって分かったのは、ムダに大きくておもちゃっぽさが残ってたから。


月の光で表面を光らせながら、純ちゃんがそれを肩に担いだ。




構えてニィっと笑った純ちゃんの瞳も、月に反射して光った。

真っ黒い引き金に指をかける。


……あれ、なんかイヤな予感がする。






「サヨナラ、王子」






制止の言葉を述べる間もなく。
純ちゃんの指が、引き金を引いた。










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