咲く*ラプンツェル





「さあどうするの王子さま。目、開けられるの?」


「…ってめ、魔女サマになりすぎだろ」




不敵に微笑む純ちゃんを、目を瞑ったまま透真は見上げた。


月明かりの下で落とされる言葉。




「…心閉じ込めんの、やめろ」




王子さまはこんなときもヒトの心配をしてる。
やっぱりふたりとも、役が似合いすぎだよ。

…わたしは、ラプンツェルは、どっちも大切なのに、なんて揺れているのに。




「心が危険な目にあったらどうするの」

「あわさねえ」

「…目が見えない人が何言ってるの」




目の前で、淡々と繰り広げられるやりとり。


ふたりともこんなラプンツェルのために、一体何を言ってるんだろう。



このあと、物語は。

一体どうなるんだっけ。




「…行きましょう、心」

「ねえ、透真は目が見えなくなったの?」

「………」

「…透真」




なんで黙ってるの、透真。
純ちゃんも、なんで目をそらすの。


記憶の中から、物語のラストを必死に探す。



…この物語は

幸せな御話だっけ、それとも







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