咲く*ラプンツェル
風が吹いて、純ちゃんのマントをなびかせる。
誰のか分からない涙も風に吹かれて星屑みたいに輝いた。
「心」
透真の声に振り返る。
わたしはきっとこれから、純ちゃんと一緒にどこか遠くへ行くよ。
「絶対 見つけるから。迎えに行って、助けるから。」
決して大きな声じゃなかった。
透真の両目は開いてた。
きっとそこにわたしの姿は映っていないけど、両目でこっちを見据えてた。
反射して光ってた。
「と……」
次の瞬間強い風が吹いて。
純ちゃんが飛び降りたと思った瞬間、わたしの目の前からは、透真も部屋も、消えていた。