咲く*ラプンツェル



いやいやおかしいでしょイキナリすぎるでしょ!と、いろいろツッコミあるかもしれない。それはなきゃおかしい。けど。



──わたし、心(16)はいま、
ラプンツェルなのです。



ちっちゃい頃に読んでいたグリム童話、『ラプンツェル』。別名『髪長姫』。


それがいまのわたし。



…みなさん、ついてきてくださいね。




「…ラプンツェルなう」




床一面に散らばった自分の髪を眺めたあと、部屋の中を見回す。


扉はないし、窓も大きめのひとつしかない。
だから部屋は薄暗い。

部屋の中はベッドと、堅い床にふわふわな分厚い布が敷かれてるだけで、ほかに何もない。



…あれ、でもコンセントがある。

ついでに言うと、コードが繋がっててベッドの上ではわたしのスマホが充電されてる。



「現代的…!」



そりゃあ現代だもの、スマホだってありますよね。

つぶやいた言葉が、無機質で堅い煉瓦の壁に吸い込まれていく気がした。


窓の外はまだ明るい。


だけどあんまり光が入らないから、なんだか暗くて、寂しい。



だれか、来ないのかなぁ…。



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