咲く*ラプンツェル
「ふー、ほんとつかれた」
「…えっと、おつかれ」
はしごで登ってきたの。と純ちゃんが言うからちょっとのぞいてみると、たしかに窓には長い長いはしごが立てかけてあった。
この絶壁をその身だけで登ってくるとか、純ちゃんさすが。純ちゃんリスペクト。
ぱちん。
純ちゃんが指を鳴らすと、はしごは煌めく煙となって消えた。魔女の純ちゃんは、その指の音で魔法を遣うみたい。
「あれ…でもさ、魔女だから、ほうきで空を飛んでくるとかすれば楽なんじゃない?」
さっきまで肩で息をしていた純ちゃんを思い出し、尋ねてみる。
純ちゃんはニコッと笑った。
「?」
私もつられてニコッと笑った。
「…笑顔がかわいいラプンツェルー! 元気だったー!?」
とたん、ぴょーんっと純ちゃんが飛びついてきた。
…話そらしたー!
いま話そらされたよね奥さん!
奥さんに訴えながら勢いで後ろに倒れたわたしの頭を、純ちゃんは問答無用に撫で回す。