【短】卒業~ずっとキミが好きでした。~



だけど、その日を境に、柏木は私と挨拶はするけど前みたいに笑いかけたり、他愛ない会話をしてはくれなくなってしまった。


思い切って私から話しかけてみても、そっけない態度を取られてしまう。



どうして、私はあんなことしてしまったんだろうと、自分のとった軽率な行動を悔やんでも悔やみきれない。



けれど、落ち込む私にさらに追い打ちをかけるような出来事が起きてしまったんだ。




「ねぇ、ゆずちゃん。今ちょっといいかな?」



放課後。

帰り支度をしている私に話しかけてきたのは、なんとアイラちゃんだった。



アイラちゃんの隣には、その友達のミユキちゃんもいる。



みんなが帰ってしまった教室には、もう私たち3人だけしかいない。



「ゆずちゃん、前に好きな人がいるか聞いた時、“いる”って言ってたよね?」


「えっ?う、うん……」


その話をアイラちゃんとしたのは、前に掃除当番が一緒で、アイラちゃんから小学校の時に柏木に告白された話を聞いたあの日だ。


まさか、あの日。


アイラちゃんからそんな話を聞くことになるとは予想もしていなかった私は、好きな人がいるかと質問されて、素直に“いる”と答えてしまっていたんだ。



「ずっと気になってたんだけど、ゆずちゃんの好きな人って誰?」



……っ!?


「えっ!?」



そんなことストレートに聞かれたって困るよっ。


私がアイラちゃんに本当のことなんて話せるわけないじゃないっ。




「いきなり、どうして?」



「う~ん。もしかしたら、あたしの好きな人と被ってような気がしたから」



好きな人と被ってるって、


どういう意味?



「まさか、ゆずちゃんの好きな人って……、」



……ゴクン。


無意識に唾を飲み込んだ。




「柏木、じゃないよね?」




……っ!!!!


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