【短】卒業~ずっとキミが好きでした。~
柏木の名前を出された瞬間、心臓が大きな音でバクバクと騒ぎ始めた。
冷や汗が流れ、顔の表情が強張っていく。
動揺してるなんて悟られてはダメなのに。
絶対にダメなのに。
「……違うよ」
だけど、声が震えないようにそう答えるのが精いっぱいだった。
「ほんとに?よかった~ぁ!」
私の答えを聞いて、アイラちゃんは安心したような表情を見せて笑った。
「それなら、安心してゆずちゃんにも報告できるよ」
……報告?
嫌な予感が脳裏をよぎる。
「実は、あたしね、」
アイラちゃんは、今から私に何を言おうとしているの?
怖い。
怖いよ……。
私は、ギュッと拳に力を入れていた。
「あたしね、小学校の時に柏木にされた告白の返事を、昨日、柏木にしたんだ」
「……え?」
一年も前の告白に、今更……?
どうして今になって?
一年も前なら、もう無効なんじゃないの?
それで?
アイラちゃんは、柏木になんて告白の返事をしたの?
それに対して、柏木はなんて答えたの?
「それで、あたしたち、」
ドクン、ドクン、ドクン。
心臓の音はどんどん大きくなってゆく。
「付き合うことになったの」
………っ!!!!