【短】卒業~ずっとキミが好きでした。~
……え。
私は驚きを隠せない。
「ゆず?」
私の動揺している様子をみて、リカが心配そうに私の顔を覗き込んだ。
「リカ、どうしよう……」
私は、自分だけではどうしたらいいのかもわからなくて、その手紙をリカにも読んでもらった。
「うそっ!ゆず!早く行かなきゃ!」
「で、でもっ……」
最初、差出人の名前を見た瞬間、心臓が止まりそうになったと同時に、本気で誰かのイタズラかと思った。
たけど、私はこの文字の書き方をよく知っている。
これはたぶん、柏木本人が書いたものだ……。
だから、余計に動揺を隠せない。
でも、どうして?
どうして柏木が私のことなんて呼び出すの?
私に話したいことって何?
この二年間、まともに会話をしたことなんてほとんどなかったじゃない。
今さら、何を話したいっていうの?
「ゆず!ほら、早くっ!」
「リカ……」
不安げにリカを見つめる私の涙腺は緩んでいく。
「今行かなきゃ、絶対に後悔するよっ!!」
「……っ!」
リカのその言葉に、私は1年2組がある三階まで走り出した。
胸がドキドキしすぎて、どうにかなってしまいそうだ……。