【短】卒業~ずっとキミが好きでした。~





私は一度深呼吸をする。


だけど、何から話せばいいかな?



そうだ。


まずは、柏木の誤解から解かないといけないよね。



「1年の頃、柏木の机の中に差出人が私の名前で書かれたラブレターが入ってたことがあったと思うんだけど……」


「あぁ……あれか、」



その話題を出すと、柏木も気まずそうな表情をしている。



「そのことについて、ずっと言いたくて言えないままだったんだけど、」


「うん」


「あれは、私が書いたんじゃないの。誰かが勝手にあたしの名前を使って……」


「わかってるよ」


「……え?」



わかってる?

え?


柏木は、あれは私が書いたものじゃないってわかってたの?



「字を見れば一発でわかる」


「……え?」


「右上がりで少し小さめな香山の字とは全然違ったからな」



……柏木。


ちゃんと私の字を見ててくれてたんだ。


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