【短】卒業~ずっとキミが好きでした。~
「ウワサで聞いて香山も知ってるかもしんないけど、俺、工藤に小6の時コクったことがあってさ」
……ドクン。
「その時は、工藤からの返事はもらえなくて、ただ俺の気持ちを伝えただけって感じで終わったんだけど、」
「……うん」
「中1で工藤と同じクラスになって、最初はちょっと気まずい感はあったけど。でも、その頃にはもう工藤に対して好きとかそういう感情はなくて、」
「……うん」
「けど、夏休みに入る前だったかな。突然、工藤に話があるって言われて」
「……うん」
「あの時の告白の返事をしたいって」
「…………」
アイラちゃん、わざわざ私を呼び出してまでそれを伝えにきたもんね……。
「いくら、告白してから1年が経ってたとはいえ、コクったのは俺だし、断るのも失礼なことかもしれないって思ったけど、もう俺は工藤のことは好きじゃなかったし、今は他に好きな人がいるって伝えたんだ」
……他に好きな人。
その言葉に、また私の心臓が勝手にドキドキと加速し始める。
「でも、工藤は形だけでも付き合うことにしてくなきゃ困るって。周りに俺からコクられたことを話してしまった手前、俺にフラれたとは言えないって。告白した責任として、2ヶ月だけ付き合ってるフリをして欲しいって頼まれたんだ」
「えっ、」
そうだったの?
じゃあ本当は、アイラちゃんとは付き合っていなかったんだ……。
「約束の2ヶ月が過ぎたとき、俺から告白しといてフったんだから、最後に好きな人の名前を教えろって言ってきて」
「…………」
「それで俺、その時に工藤に言っちゃったんだよね。俺の好きな人は、香山だって……」
……ドキッ。
“俺の好きな人は、香山”……。
「それからしばらくして、俺の机の中に香山の名前で書かれたラブレターが入ってて。けど、その手紙の字を見てわかっちゃったんだ……。それが、工藤が書いたもんなんだってことが」
……っ!!